日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.49 無気肺でX-P上で肺野が白くなる理由

質問

胸部X-Pの講義中に白くみえる肺野は、 空気が入っていない部位だと理解しました。 例えば、中枢気道が分泌物によって急速に閉塞した場合、 X-P上で黒く映っては異常とは判断できないと思いますが、 末梢の肺胞に残された空気はどこにいくのでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

胸部X−Pで肺野が黒く映る場所が白く映るのは異常です。その場合、肺炎や肺水腫、腫瘍などが原因と考えられます。中でも「無気肺」というのはよく目にする病態の一つです。無気肺とは気管支や肺が何らかの原因によって、閉塞や圧迫され奥の肺胞まで空気が入らなくなる病態です。空気が入らないため肺胞は、膨らまなくなります(虚脱します)。そのため気管支が閉塞された場合には、その部位によって、肺区域全体が無気肺になる特徴的な画像となります。

ご質問のように、急速に閉塞した後の肺胞内の空気は、確かに残存します。残された空気は血液中に吸収され、結果的に肺胞が潰れます(虚脱します)。その後、血漿成分や分泌物にて満たされて、X−P上では白く映ることとなります。

無気肺を改善させるためには、閉塞させた原因を除去すること、膨らまなくなった肺胞に空気を送り込むことが、必要となります。

具体的な対処法としては、体位排痰法・体位ドレナージ等を実施し、分泌物を末梢から中枢側へ移動させ、排出・喀出を促す。体位変換や呼吸法指導などを実施し、換気効率をアップさせるなどの方法があります。無気肺を改善できる方法を選択して胸部X−Pの肺野を黒く映させてください。また、上記に合わせて必ず聴診を行い、無気肺の改善の有無をチェックするように心掛けましょう。