日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.47 拡張型心筋症患者さんの運動負荷を考える

質問

拡張型心筋症でEF35%の患者さんがいますが、 どの程度まで運動負荷をかければよいのでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

私の経験上、拡張型心筋症でかつ四肢の浮腫が強い患者さんでは、端坐位などの刺激で急に末梢血管が収縮すると(後負荷上昇)、心不全が増悪する傾向があるように思います。

では、どの程度の運動負荷が適切であるのか?残念ながら具体的な指標はありません。私も端坐位程度なら大丈夫かなと思っていても、その後、肺うっ血から呼吸障害を呈した経験があります。

事前にどの程度の負荷であればと、予測するのは難しいものです。このように具体的な運動負荷を決めかねる場合には、離床の前、途中、直後、翌日などの患者さんの呼吸状態や、利尿状況などを経時的にこまめに観察することが、負荷量の調節に役立つと考えます。

心不全悪化徴候(前術の肺うっ血など)が確認できれば、負荷量を見直し、より慎重に離床を進める必要があると思います。