日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.454 【量と形態がポイント!】酸素療法中の食事に関するQ&A

質問

鼻カニュラで酸素療法中の患者さんの食事を進める際の注意点を教えてください。

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

酸素療法中の患者さんの食事を進める際の注意点として、「食事摂取量の調整」と「食事形態の工夫」が重要です。

意外と知られていませんが、酸素療法中の患者さんは、酸素吸入によって食事の消化が遅くなることがあります。その理由は、酸素療法中は酸素吸入によって呼吸が浅くなり、呼吸による腹圧の変化が減少するためです。これに伴い、胃腸の動きが低下して食べ物の消化・吸収が遅くなることがあります。そのため、食事の量を少量にして食事回数を増やしていきましょう。目安としては、1日5回に分けて食事摂取を促すことをお勧めします。

また、消化しやすい形態の食品を摂取することで、食事時間の短縮と、胃腸の負担の軽減をし、酸素需要を減らす効果が期待できます。例えば、咀嚼しやすいように軟食にする、誤嚥予防目的で水分にとろみをつける、などが有効です。細かい食事形態は患者さんの嚥下機能によって異なるので、改訂水飲みテストやフードテストなどで評価し、患者さんに合った形態の食品を提供しましょう。

鼻カニュラは酸素マスクと違って、食べづらさは生じにくいですが、摂取中もSpO2や自覚症状を確認しながら観察・評価していくことが重要です。医師、看護師、栄養士、リハビリスタッフが主体となって連携し、患者さんが無理なく食事摂取できる環境を整えていきましょう。