日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.44 シャキア法が上手く行えない場合の間接訓練

質問

シャキア法をやりたいのですが上手くできないとき、 嚥下の筋力トレーニングとして間接訓練で行う方法はありませんか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

嚥下が上手くできないとき、 その原因が筋力不足にある場合に、 筋力トレーニングを行うことで、 嚥下機能が改善することがあります。

シャキア法1)というのは代表的な間接訓練の一つです。 舌骨上筋群など喉頭挙上に関わる筋の筋力強化を行い、 喉頭の前上方運動を改善して食道入口部の開大を図るトレーンニングです。

食道入口部の食塊通過を促進し、 咽頭残留(特に下咽頭残留)を少なくする効果があります。

実施方法は、仰臥位で肩を床につけたまま、 頭だけをつま先が見えるまで出来る限り高く上げ、 1 分間挙上位保持後に1 分間休むことを3 回繰り返します。

この方法で負荷が強く実施困難な場合には、 反復挙上運動として同じく仰臥位で頭部の上げ下げ(up and down)を、 30 回連続して繰り返す方法もあります。

ただし、実際にやっていただくと分かるのですが、 健常者でも疲れる運動内容になっています。

嚥下時には、舌骨上筋により喉頭が拳上するため、 この舌骨上筋の働きが重要です。

この舌骨上筋は開口筋でもあります。 開口力が弱い患者を対象とした、 開口筋を鍛える訓練法としてWadaらの報告があります2)

方法は「最大開口位まで開口させた状態を10秒間保持し、10秒間の休息を行う」 というものを5回行い、 それを1セットとし1日2セット行う方法です。

簡単な訓練であり患者にも指導しやすい方法です。
ぜひ試してみて下さい。

参考文献

1) Shaker R, et al: Rehabilitation of swallowing by exercise in tube-fed
patients with pharyngeal dysphagia secondary o abnormal UES opening,
Gastroenterology, 122: 1314?1321, 2002.

2) Wada S, et al. Jaw-opening exercise for insufficient opening of upper
esophageal sphincter. Arch Phys Med Rehabil. 2012 93:1995-1999.