日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.42 咽頭期における嚥下障害の有無を評価する

質問

咽頭期における嚥下障害の有無を評価する改訂水飲みテストについて教えてください。

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

嚥下の評価には様々ありますが、咽頭期に限っての項目では、
1.反復唾液嚥下テスト(RSST)
2.30mlの水飲みテスト
3.改訂水飲みテスト
4.頸部聴診法
5.パスルオキシメーター
などが挙げられます。

RSSTや頸部聴診法、酸素飽和度における評価は講義中にも紹介しました。
今回は水飲みテストについて紹介します。

座位の状態で評価者は「水をいつものように飲んでください」と言い、30mlを飲水してもらいます。

1回で飲み込むことが可能で、5秒以内に嚥下可能であれば正常範囲、2回以上に分けて飲み込む、または5秒以上かかるか場合は嚥下障害の疑い、ムセる、もしくは飲みきれない場合は異常と判断されます。

この時に、頸部聴診ならびにパルスオキシメーターにて酸素飽和度を評価します。

聴診にて長く弱い嚥下音や複数回の嚥下音、水泡様嚥下音、湿性呼吸音等があり、テスト前よりも酸素飽和度が3%低下した場合は、嚥下障害の可能性が高いと判断されます。

急性期の場合や重度の嚥下障害が疑われる患者さんに対して、30ml飲水では誤嚥のリスクが高いため、改訂水飲みテストを用います。

座位姿勢(リクライニングでも可)の患者さんに対して、シリンジを用い、3mlの冷水を口腔底に注ぎます。

嚥下後は反復嚥下を2回指示します。

嚥下がありムセ込みが無く、呼吸状態も良好であれば正常と判断します。嚥下があってもムセ込みがあったり、呼吸切迫があれば異常と判断します。

留意点としては、嚥下に関する検査や評価を行う前には、必ず口腔内を清潔にしましょう。口腔内が汚い状態で誤嚥をしてしまうと、肺炎のリスクを高めてしまう恐れがあります。

最後に、臨床の場面でうまく評価するためには、まずご自身での評価を実施する事をお勧めします。その後、健常者での評価を繰り返し、臨床での評価がスムースの行えるよう準備しておくことが大切です。

参考文献

1. 若林 秀隆:リハビリテーション栄養アセスメント.PT・OT・STのためのリハビリテーション栄養,医歯薬出版,2010

2. 對東俊介.嚥下のフィジカルアセスメント.曷川元(監修) 
 フィジカルアセスメント完全攻略Book p.113-128,慧文社,東京,2014