日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.41 いち早く誤嚥性肺炎を察知するには?

質問

入所中の方で、気が付いたら肺炎の症状が増悪し重篤化しているケースがありました。 原因として誤嚥性肺炎が考えられるとのことでしたが、 早期に誤嚥性肺炎に気が付けるポイントはありますか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

誤嚥性肺炎は高齢者に多く発症する、呼吸器疾患の1つです。

医療従事者が早期に誤嚥性肺炎に気づけない理由には、高齢者の特徴として自覚症状に乏しいことが挙げられます。加えて、肺炎の主症状である、高熱、咳、痰などの呼吸器系の症状が、出にくいことも理由に挙げられます。

以下に誤嚥性肺炎を早期に察知するポイントを紹介していきます。

まず、対象者の誤嚥リスクの有無を把握することが重要です。講座でもご紹介しました嚥下のフィジカルアセスメントを用いて、スクリーニングとして対象者の嚥下機能を把握しておきましょう。

簡易評価5つのポイントで、一つでも疑いがあれば誤嚥性肺炎を起こす可能性があることを疑って関わっていきます。

次に、実際に対象者と接した際に、「いつもと違う点がないか?」という視点で見ることも大切です。

肺炎だから呼吸器系の症状と思いがちですが、先に述べましたように高齢者は呼吸器系の症状が出にくい場合があり、初めは食欲不振や意識障害(一時的な混乱)、口腔内や皮膚の乾燥によって気づくことがあります。

フィジカルアセスメントの講座でもお話ししていますが、「いつもと違う」ということに気づくことが重要です。

呼吸器系でチェックすることでおすすめするのは呼吸数です。呼吸数はバイタルサインの一つであり、呼吸数増加は重症化のサインであると言われています。

普段から呼吸数を測る癖をつけておき、いつもと比べて呼吸数が増加している場合は、誤嚥性肺炎などの病態が潜んでいる可能性があるということを、頭に入れておきましょう。

1.對東俊介.嚥下のフィジカルアセスメント.曷川元(監修)
フィジカルアセスメント完全攻略Book p.113-128,慧文社,東京,2014