日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.385 【注意すべき2つのポイント】深部静脈血栓症に関するQ&A

質問

深部静脈血栓症(DVT)の超音波検査の所見で、注意すべきポイントがあれば教えてください。

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

近位部の血栓と浮遊型血栓は特に注意が必要です。超音波検査はDVTの検出率が高いので、下肢の腫脹や熱感、ホーマンズ徴候が陽性の場合には、超音波検査で血栓評価されることがあります。超音波検査では、大腿静脈、膝窩静脈、ヒラメ筋・腓腹静脈など、下肢全体の検査を行います。ヒラメ筋静脈や腓腹静脈などの遠位にできるDVTに対して、大腿静脈など近位にできるDVTの方が、肺塞栓症発生リスクが高いといわれるため、DVTのできている場所を把握することが重要です。

また、血栓の形態として、閉塞型や浮遊型もチェックのポイントです。通常静脈にできる血栓は、血管壁に固着していますが、血管内腔に浮遊して可動性があるものを浮遊型血栓と呼びます。浮遊型血栓では30%から60%で肺塞栓症を合併するといわれるため、超音波検査の所見の中でも注意すべきです。

DVTがあるから離床できない、と判断するのではなく、血栓の部位や形態にも着目して、リスク管理をチームで話し合って離床の判断につなげましょう。