日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.380 【見落とされがちだけど重要!】心不全患者さんの環境調整をどうすべきか

質問

慢性心不全の患者さんで、急性増悪を起こして入退院を繰り返している方がいます。サルコペニアも合併しており、最近転倒が増えてきているのですが、環境面へのアプローチとしてできることはありますか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

ズバリ、トイレと洗面台の環境を見直してみましょう。慢性心不全の急性増悪を繰り返している患者さんに関しては、息切れやむくみ、体重増加などで活動制限をきたしやすくなっていきます。このままでは、ADLが低下し寝たきりになるリスクがあるので、福祉用具を活用して活動性を何とか維持しましょう。お勧めは1日の中でも頻度の高い「トイレ」と「洗面台」の調整です。

「トイレ」については、ポータブルトイレで排泄動作を練習していき、症状の緩和や体力の向上が得られたら、室外のトイレにて排泄を行うようにします。以外と見落とされがちなのが「洗面台」です。洗面台は食前後の歯磨き、トイレの後の手洗いに使用するので、利用頻度の多い場所です。

しかし、心不全の症状で活動制限があると、洗面台での動作も負荷となるリスクがあります。そこで、「移動式洗面台」を活用しましょう。移動式洗面台をベッド近くに設置できれば、清潔な状態が保て、なおかつ転倒リスクも軽減して活動が維持できます。慢性心不全の急性増悪を繰り返すと徐々に活動量が減少していくので、本人の生活環境を見直し、適切な調整を行ってみてください。