日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.376 【症状かアウ値か】低酸素が疑われる患者さんのリスク管理

質問

SpO2が低値でも症状がない患者さんがいます。症状とSpO2の値のどちらを優先して離床中止の目安とすべきですか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

まず誤差によるSpO2低値ではないか確認し、誤差ではない場合は、離床は中止しましょう。パルスオキシメーターは簡単に測定できる反面、日光や末梢循環障害、マニキュアなど様々な要因で誤差を生じます。症状がないのに低値を示す場合は、安静にして誤差要因がないか確認し、誤差要因を取り除いて測定し直してみましょう。

臨床ではパルスオキシメーターの誤差ではなく、本当にSpO2が低値を示す場合があります。代表的なものは「高齢者」と「慢性呼吸不全」です。年齢別のPaO2では、80歳ではPaO2は76mmHg程度が正常値となっていて、これはSpO2に当てはめると93から94%くらいです。

また、慢性呼吸不全の患者さんは低酸素状態に身体が慣れていて、SpO2が90%を切っても「大丈夫」といって、離床を継続する方がいます。どんなに症状がなくても、86%を下回ると心虚血のリスクなどがあるため、86%以下にはならないよう離床を行いましょう。