日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.359 【何を診ればいいの?】重症患者のフィジカルアセスメントに関するQ&A

質問

重症な敗血症になりかけている患者さんをフィジカルで見分けることはできますか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

呼吸・循環・意識状態の3つを評価することで、敗血症の疑いをかけることができます。ICU以外の現場で敗血症を把握するための新たなスコアとして、quick SOFA(qSOFA)スコア1)があります。

チェックする項目は呼吸・循環・意識の3つで、①呼吸回数22回/分以上、②収縮期血圧100mmHg以下、③精神状態の変化の有無を確認し、2つ以上の項目が該当すれば敗血症を疑い、集中治療の必要性を検討します。このスコアは、簡便な検査にも関わらず、ICU以外で感染が疑われる患者に対してはSOFAスコアよりも死亡予測能が高いという報告もあります2)

このチェックポイント3つの中でも、呼吸数の測定は注意が必要で、正確に測れていない可能性が高いバイタルサインの一つとしてよく取り上げられます。なぜならば、呼吸数はバイタルサインのうち、唯一意識すれば自身でコントロールできてしまう指標だからです。

また、最近の報告では、入院患者の呼吸回数の記録は不自然に18回/分と20回/分が多いという研究3)もあります。そのため、私たち医療従事者は、呼吸数が重要な指標であるということをもっと認識し、正確に測定するためのトレーニングする必要性を感じます。

重症な敗血症になりかけている患者さんを見分けるために、呼吸数を正確に把握し、役立てていきましょう。

  1. Singer M, et al. The third international consensus definitions for sepsis and septic shock (sepsis-3). JAMA. 2016; 315: 801-10.
  2. Seymour CW, et al. Assessment of clinical criteria for sepsis: for the third international consensus definitions for sepsis and septic shock (sepsis-3). JAMA. 2016; 315: 762-74.
  3. Badawy J, et al. Is everyone really breathing 20 times a minute? Assessing epidemiology and variation in recorded respiratory rate in hospitalised adults. BMJ Qual Saf. 2017 Jun 26. [Epub ahead of print]