日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.356 【酸素がうまく使えない!】心不全でアシドーシスになるのはなぜ?

質問

代謝性アシドーシスの原因に心不全がありましたが、なぜ心不全で代謝性アシドーシスになるのか教えてください。

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

心不全で代謝性アシドーシスになるのは、乳酸が増えるためです。心不全によって末梢循環不全を来たすと、末梢の血管が収縮し、組織が酸欠状態となります。すると細胞は酸素の代わりに糖(グリコーゲン)によってエネルギーを得ようとします。糖がエネルギー源として活用された結果、代謝産物である乳酸が血中に蓄積されます。乳酸は酸性ですので血液が酸性に傾くこととなり、乳酸アシドーシスといった病態に陥ることになるのです。

乳酸アシドーシスの代償反応として、換気量や呼吸回数が増加している時は、重篤な状態であることが多く、救命治療が優先される時期と考えます。このような場合はベッドサイドでのコンディショニングまでとするなど、主治医とよく相談して離床を検討してください。