日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.352 【平均?収縮期?】血圧と離床のリスクに関するQ&A

質問

離床基準では平均血圧を目安とするものがありますが、回復期や在宅で平均血圧がすぐに確認できない時はどうすればよいでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

平均血圧がすぐに確認できない場合に備え、収縮期と拡張期血圧の目安を覚えておきましょう。平均血圧は臓器血流を反映するので、離床のリスク管理としては有用な指標です。65mmHgを下回った場合は、医師かベテランに一度相談してから離床する、という目安になります。急性期でモニターがついていれば、平均血圧を計算してMAP(Mean Arterial Pressure)として、表示されているので、リアルタイムにみることができます。

しかし、ご質問にあるように回復期や在宅ではモニターがついていないので、すぐに平均血圧を見ることができず、面倒な計算が必要となります。その場合は、収縮期・拡張期血圧をもとに、安全な平均血圧値を予測できるようになるとよいでしょう。そのヒントは、平均血圧を求める式にあります。

平均血圧は、(収縮期血圧-拡張期血圧)÷3+拡張期血圧 で求められます。収縮期がある程度高ければ、平均血圧は保たれる。拡張期が高ければ、これもまた平均血圧は保たれることになります。

収縮期血圧が90 mmHg以上は一つ目安です。90 mmHg以上あれば、この計算式の前半の値に余裕が生まれ、仮に拡張期が50mmHgと低くても、平均血圧は65mmHg近くになります。拡張期血圧は60mmHg以上を目安とします。これを切って仮に50mmHg台になってしまうと、平均血圧は65mmHgに届くのは拡張期で90mmHg以上になってしまうので、かなり厳しいことがわかります。

まとめますと、上の血圧は90 mmHgを切ったら用心、下の血圧は60mmHgを切ったら、これもまた用心、ということです。この血圧値だけで離床の可否を決定することはしませんが、まずは「アブナイ」と思える基準値を頭に持っておくことは、損にはならないと思います。是非、臨床で活用してみてください。