日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.35 低栄養で出現するむくみの原因

質問

むくみの質で異常を推測できるということでしたが、 何故、低栄養だとテカテカのむくみが出現するのでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

むくみの原因と言えば、臨床では心不全などで出現することが有名です。
心臓が上手く働かず、うっ血することで静水圧により、血管外に漏れることでむくみが生じます。 この場合、低栄養の時と異なり血管内のボリュームは上昇しています。しかし、低栄養時には、血管内の蛋白質等の濃度が低下しています。
よって、血管内への浸透圧が低下して血管内に水を引き込むことができない、もしくは留めておきにくい状態になってしまうということになります。 すると、血管外に液体成分はどんどん移動してしまい、外観上ではむくみとなります。
臨床で大切なのは、みた目むくんでいても、血管内のボリュームは少ないことがあるということです。 低栄養の時は、血管内の成分も蛋白質が低下している状態で、血管外に漏れている成分も蛋白質は少ない状態です。 極端に言えば、液体要素が強い状態ですので、間質に出る成分も液体要素が強いということになります。 このため、水風船のようなむくみが観察されます。
この時にむくみを圧迫するとすぐに跳ね返ってくるような状態が観察されます。
逆に、心不全のように栄養状態が良い状態で血管内から押し出された成分は、液体要素が少ないので、圧迫してもすぐに戻らないようなむくみが形成されます。
光沢のある水風船のようなむくみを見たら…。
・低栄養により、みた目むくんでいても血管内のボリュームが少ない場合がある。
・体動により循環動態の変動をきたしやすい場合がある。
上記の2点を念頭に置き、体動時の反応をみていくと良いかと思われます。
(注:低栄養によるむくみは時間が経過すると戻りの遅いむくみに変化してきます)

参考書籍
曷川元 他;誰も教えてくれないコツがここにある!フィジカルアセスメント完全攻略Book P47.2014