日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.347 【リスクはどこでわかる?】完全房室ブロックの重症度

質問

完全房室ブロックは離床を見合わせるべき不整脈とありましたが、QRS波の形などで重症度は変わりますか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

完全房室ブロックは、「QRS波の形」と「心拍数」で重症度が変わります。その理由について順に説明していきます。

完全房室ブロックは、房室結節の伝導が完全に途絶え、心房と心室がバラバラに動く房室ブロックの中でも最も緊急性が高い不整脈です。心房と心室がバラバラに動くというのは、心房の指示が伝わらないため、心室は自律して動いている状態で、この状態を「補充調律」と呼びます。補充調律の中でも心拍数が遅く、QRS 幅が広いものほど重症度が高いと考えられています。補充調律の中枢が、房室結節やヒス束から発生しているものは、心拍数40~60回/分、これより下位の心室筋から発生しているものは、20 ~40 回/分となります。

より下位から発生する補充調律の方が、心拍数は遅く、QRS幅は広くなり、心室は不安定になるため注意が必要というわけです。QRS波の幅が広く、心拍数が遅い完全房室ブロックをみた場合は、より緊急性が高いことを理解して、行動につなげることが大切です。