日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.34 心不全増悪を判断する検査値

質問

心不全増悪のサインとしてレニンに着目すると言われましたが、 レニンを調べる検査は何かあるのでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

レニンは腎臓の傍糸球体細胞で生産される酵素で、血圧調節に関与するアンジオテンシン1に作用します。結果としてこの酵素が血圧調節に関わっています。
レニンを調べる検査には、「レニン活性」という血液検査がありますが、臨床では、あまり用いられません。
理由としては心不全増悪とレニン活性値に相関がないと言われているからです。
心不全が明らかに増悪している患者でもレニン活性が上昇しない事が報告されています。
実際にはレニンよりも「BNP(=ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド)」の値が心不全増悪を評価するのに重要視されています。
BNPは心臓の負担を察知すると心臓から放出されるホルモンで、この数値が上昇するほど心臓に負担がかかっていると考えられています。
このBNPは心不全増悪との相関が高いと言われており、正常値は18.4pg/ml以下で、80pg/mlを越えてくると心不全が疑われます。
心不全を検査値で確認したい際には、レニンだけではなく、BNPにも着目してみてください。