日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.336 【サルコペニアをどう防ぐ!?】肝不全患者さんの離床に関するQ&A

質問

肝不全の患者さんは、タンパク合成能が低下しているので、サルコペニアのリスクが高いと思います。肝不全の患者さんの筋力を改善するコツはなにかありますか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

肝不全の患者さんの筋力を改善するコツは2つあります。

1つ目は、軽負荷の筋力トレーニングです。負荷が強い運動を行うと、アンモニアが上昇して肝性脳症を引き起こすリスクが増加するため、まずは臥位や座位で可能な軽負荷の運動から実施しましょう。近年では、軽負荷でも量を増やすことで、筋力改善を目指せることもわかっているため、1日トータルで「量」がかせげるように、多職種で連携してアプローチをしましょう。

そして2つ目は、有酸素運動です。特に中等度以上の肝不全で、積極的離床が難しい場合には、床上エルゴメーターや座位でのウォーキング(足踏み)など、ベッド上でできる運動を行うことが大切です。今までは肝不全の患者さんへの治療法として、安静による治療が選択されていました。しかし、安静が続くと運動機能低下や筋肉の萎縮、QOL低下などを起こすので、負荷に注意しながら、できるアプローチを検討してみてください。