日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.334 【どこまで離床する!?】肝不全患者さんの離床に関するQ&A

質問

肝硬変の重症度分類であるchild-pugh 分類 「C」の時の離床はどうしたらいいですか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

結論からいうと、「ADLレベルでとどめる」です。child-pugh 分類は肝硬変の重症度分類で、Cは高度に障害されている状態を表します。高度障害では、立つ、歩くなど日常生活の動き程度で離床にとどめ、負荷の高い筋力トレーニングを行うことは控えます。

理由は、「child-pugh分類 「C」の方に対して、レジスタンストレーニングを行って効果的だった」という研究が不十分だからです。肝硬変の方に、1回1時間、週3回のレジスタンストレーニングを3ヶ月行い、筋肉量や筋力がアップしたという研究はあります(文献1)。

しかし、この研究の対象はchild-pugh分類 「A」もしくは「B」の方が対象です。肝硬変の方に対する運動は、child-pugh分類「C」を対象とする研究が不足していると、問題指摘もされています(文献2)

以上のようなことから、child-pugh分類「C」の方に対する離床やトレーニングは、どこまでがセーフティーゾーンなのかが不明確なので、ADL維持程度にとどめるのが無難です。病期を意識した離床レベルを考えてみてください。

1)Luise Aamann : Resistance Training Increases Muscle Strength and Muscle Size in Patients With Liver Cirrhosis, Clin Gastroenterol Hepatol , 2020 ; 18 (5) : 1179-1187 .

2)筆保健一、木村浩彰 肝硬変のリハビリテーション Journal of CLINICAL REHABILITATION Vol.29 No.1 : 27–36 , 2020