日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.318 【戻り方に注意!】離床後にみるべきアセスメントポイント

質問

離床後のアセスメントについて血圧の注意点はわかりましたが、心拍数や脈拍数に関して何かポイントがあれば教えてください。

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

離床後には、心拍数の戻り方に注意が必要です。離床や運動後の心拍数の回復は「Heart Rate Recovery」と呼ばれていて、運動して上昇した心拍数が、どのくらい安静時心拍数に向かって戻るかをみる指標です。

浅田ら(文献1)は、運動後の心拍数の戻りが18 回/ 分以下の遅い群は、19 回以上の正常群と比較して、3 年生存率が10%も低いことを報告しています。離床後に負荷がかかって心拍数が上昇したあと、休んでいるにもかかわらず、なかなか心拍数が安静時のレベルまで戻ってこない患者さんに遭遇します。こうした患者さんの場合には、心不全増悪のリスクを考慮して離床のレベルを決定し、退院後の生活を踏まえた運動指導などが特に重要となってきます。離床した後の、心拍数の戻り方に着目してみてください。

文献1:浅田潤子:虚血性心疾患が疑われる運動負荷時HeartRate Recoveryによる死亡予測.関西医科大学雑誌56:206-211,2004.