質問
離床や体位変換を見合わせる時として「循環動態の不安定な時」と ありましたが、具体的にはどんな時でしょうか?
回答
回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣
日本離床研究会では「離床を行わない方が良い場合」といった開始基準、「離床を途中で中止した方が良い場合」といった中止基準を設けています。
離床の開始基準の循環動態項目に関しましては下記の通りです。・ 安静時の心拍数が50回/分以下または120回/分以上・ 安静時の収縮期血圧が80mmHg以下(心原性ショックの状態)・ 安静時の収縮期血圧が200mmHg以上または拡張期血圧120mmHg以上・ 安静時より危険な不整脈が出現している (Lownの分類4B以上の心室性期外収縮、ショートラン、RonT、モービッツ2型ブロック、完全房室ブロック)
以上に当てはまる場合は積極的な離床を避け、原疾患の治療や評価を優先しアプローチを行った方が良いでしょう。
また、離床の中止基準の循環動態項目に関しましては下記の通りです。・ 脈拍が140回/分を超えたとき(瞬間的に超えた場合は除く)・ 収縮期血圧に30±10mmHg以上の変動がみられたとき・ 危険な不整脈が出現したとき (Lownの分類4B以上の心室性期外収縮、ショートラン、RonT、モービッツ2型ブロック、完全房室ブロック)
以上に該当した際は離床を中止し、負荷量、原疾患の評価や治療方針を見直しましょう。
このような場合に離床は見合わせたり中止しますが、体位変換に関しては患者さんの全身状態に合わせて変わると考えます。
例えば、全身状態が不良で、ヘッドアップや前傾側臥位を実施するだけでも、バイタルが乱れてしまいこの基準に該当する場合には、体位変換は褥瘡予防程度に留めておくのがよいと思います。
一方で、上記の様な離床の基準は「あくまでも基準」であることを忘れないで下さい。必要な患者さんの疾患特性を理解し、日々のバイタルや全身状態の変化に目を配ることです。
その上で、離床や体位変換に関して多職種で戦略を練り、アプローチを行ってください。