日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.286 【答えのない訴えをどう聞く?患者さんとの対話に関するQ&A】

質問

がんの終末期の患者さんから、「死んだらどうなるのだろう」「あと2年でいいから生きたい」と言われ、返答に困りました。どのように返せば患者さんにとってよいのでしょうか。

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

「死んだらどうなるのだろう」「あと2年でいいから生きたい」などの訴えは、スピリチュアルペイン(霊的苦痛)といわれ、これに対する答えとして、明確な正解はないと考えます。

スピリチュアルペインは、患者さんが言葉に出して表現するとは多くないとされ、自分の中にしまっている想いを言えます。そのため、今回のケースのように、患者さんが医療者に訴えたということは、信頼関係が築けているからだと思います。患者さんも答えを求めているのではなく、辛さを共感して欲しい、聞いて欲しい、吐き出したいという想いなのだと感じます。「うん、うん」と傾聴するだけでも、患者さんにとってはよいのかもしれません。

また、医療者も1人で抱え込まず、緩和ケアチームなど多職種でスピリチュアルペインを共有することで、傾聴する気持ちに余裕が生まれると思います。