日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.283 【白血球のバランスが重要!リンパ球と好中球の比をみるNLR】

質問

リンパ球と好中球の使いわけと、臨床でどのように活用するのか教えてください

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

「好中球」と「リンパ球」は、どちらも炎症マーカーで白血球の仲間です。

好中球とリンパ球は免疫細胞ですが、共に炎症細胞とも呼ばれ、「炎症」の起こる場所に集まります。好中球は主として急性期、リンパ球は慢性期の炎症に関与しています。2つの細胞は免疫機能の指標としてだけではなく、「炎症」の指標としても用いられ、好中球とリンパ数の比(NLR)が臨床では有用です。NLRは通常 1.0~1.5程度ですが、高値を示せば、それだけ「炎症」の程度が重いということを示していて、また、進行しているがんにおいて、NLRが高値を示すことが知られています。これは、「がん」の組織内で起きている「炎症」が原因となっていると考えられています。

例えば、転移再発乳癌ではNLR 3.7以上の場合、予後不良となる可能性が示唆されています1)。炎症の程度や、がんの進行度を知る目安として、NLRを活用してみてください。

文献
1) 宮本 健志, 他:好中球/リンパ球比(NLR)は転移再発乳癌(MBC)の予後予測マーカーとなりうる.日本癌治療学会学術集会抄録号52. ROMBUNNO.O11-8,2014.