日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.28 3度房室ブロック時のP波の見分け方

質問

3度房室ブロックではP波は一定のタイミングで見えるということでしたが、 タイミングによっては、S波やT波に近くて見づらいことがあります。 何か見分けるよい方法はありますでしょうか。

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

正確に波形の判読をされようとしていて素晴らしいと思います。
3度房室ブロックは、房室伝導が停止し、洞結節の刺激が心室へ伝わらず、心房と心室がそれぞれ独自のリズムで活動している状態です。臨床的には緊急性の高い不整脈に分類されており、早期にペースメーカーの装着を検討する必要があります。
正常な心電図波形の特徴は、心房の興奮を現すP波、心室の興奮を現すQRS波はそれぞれは一定のリズムで見られます。
通常P波対QRS波は1対1ですが、3度房室ブロックでは、その関係性が全く無くなってしまいます。判読のポイントとしては、QRS波に対応するP波がないというのが最大のポイントです。
しかしご質問のように、P波のタイミングによっては、QRS波に重なり、見えないあるいは見えづらいこともあります。

コツとしては、
1.P波は一定リズムで出ているはずなので、見えるP波を探し、そこからP-P間隔を推定し、その間隔で出ているはずのP波のタイミングで陽性波をみつける
2. QRS波に対応するP波を探す
以上の2点が挙げられます。

特に一部分の波形ではなく、ある一定時間の波形を観察し、全体としてQRS波とP波の関係をみるということが重要です。
3度房室ブロックはペースメーカー適応であり、緊急性が高い不整脈の一つです。しっかり判読出来るようにもう一度見なおしておくことをお勧めします。