日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.269 【今日は節分】酸塩基平衡に隠れる鬼とは?

質問

酸塩基平衡の異常として、代謝性アシドーシスに代謝性アルカローシスを合併するということは、臨床的にあり得るのでしょうか。

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

あり得ます。それは、補正HCO3-でみることができます。補正HCO3- は=実測HCO3- +△ AG(アニオンギャップ)で求めることができます(△ AG= AG - 12)。補正HCO3- はAG が開大する前のHCO3- を表わします。この補正HCO3-が27より大きくなっている場合は、代謝性アシドーシスの原因または代謝性アルカローシスの合併を読み解くことができます。

事例で考えてみましょう。例えばAG30、 HCO3-17 mEq/Lであったとします。アニオンギャップが高値で、HCO3-が低いので代謝性アシドーシスが考えられます。△AGは30-12=18となります。補正HCO3-は17+18 =35となり、代謝性アルカローシスを疑います。

臨床では、ベースに何らかの原因でアシドーシスが存在して、そのあとに嘔吐を繰り返してアルカローシスを合併するなどのケースがあります。アシドーシスの背後に隠れる、アルカローシスにも注意してください。