日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.250 【3カ月は要注意!】脳卒中患者さんの離床リスク管理に関するQ&A

質問

脳梗塞急性期の離床では、脳循環自動調節能の破綻を意識することが重要と分かりましたが、具体的にどのくらいの期間、脳循環自動調節能は破綻しているものなのでしょうか。

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

脳梗塞の重症度により期間は変わりますが、「3カ月は注意」と考えてください。

脳循環自動調節能とは、血圧変動があっても、脳血流を一定に保つ脳血管の機能です。これが破綻すると、血圧が上がると脳血流が増え、血圧が下がると脳血流が減るという状態になり、脳梗塞患者さんでは、血圧低下による脳血流低下が悪化につながるので要注意です。

脳卒中患者さんの離床のリスク管理の研究では、脳循環自動調節能の回復には約3カ月かかる(文献1)と報告しています。つまり、回復期病棟にいる患者さんでも、血圧変動と脳血流の変化に十分留意して、ケアや離床を行う必要があるということです。ケアや離床のリスク管理に活用してみてください。

1) Susan Marzolini et al. Aerobic Training and Mobilization Early Post-stroke: Cautions and Considerations. Front Neurol. 2019 Nov 15;10:1187.