日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.245 【1つの機能だけではない!】注意障害に関するQ&A

質問

注意の配分と転換の違いが難しかったので教えてください。

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

全般性注意には4つの種類があると講義の中でお伝えしました。

「注意の転換」というのは、複数の情報処理を交代に行うこと。例えば、パソコン作業中に電話がかかってきた場合、電話の対応のためにパソコン操作を中断し、電話を取るというように注意を切り替えますが、このような働きを「注意の転換」といいます。

「注意の配分」というのは、同時に注意を複数のタスクに割り振ることで、例えば先ほどの例でいうと、電話対応で情報を聞きながら、その内容をパソコンに入力するなど、複数の作業に対して注意を向けるという難度の高い注意機能になります。

松尾らの研究で、注意機能向上は言語課題の遂行・処理を促進させ、コミュニケーション能力の向上へ良い影響を与える可能性が示唆された¹⁾とあります。注意機能は作業のみではなく、言語機能にも影響を及ぼすと考えられます。注意機能にアプローチすることによって、他の認知機能が改善する可能性もあるため、まずはアセスメントを行い、アプローチや対応の検討を行ってくださいね。

参考文献
1)松尾康弘,吉田秀樹 高次脳機能における注意機能と言語機能の関係 
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 VoL15, No.1, pp,61−68(2013)