日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.24 肺炎で入院中の95歳女性の患者さんのリハビリ中の出来事です。

質問

リハビリ開始前の脈拍は70~80回/分でした。リハビリ中に急に40台の徐脈となり、すぐにリハビリを中断しました。その後、70台へともどりましたが、この時点で何を考え、どうしていればよかったのでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

まず考えるべきことは、房室プロックと、脈拍欠損が出現する心室性期外収縮などの不整脈です。急激な徐脈と自覚症状を伴う場合には直ちにリハビリを中断し、患者さんを臥床させ、バイタルサインの測定、心電図モニターがあれば装着し、波形を記録します。
今後の精査=治療の大切な情報(特に不整脈出現時の波形)となりますので、どういう状況下で徐脈になったのか医師,看護師等に報告するとよいでしよう。
今回の症例は95歳という超高齢です。そのため、加齢に伴う刺激伝導系への影響は多少なりとも考慮しなければなりません。代表的なものは洞結節の細胞数減少、膠原線維の増大、房室伝導系での結合織増加など伝導障害があります。可能であれば、リハビリ前に24時間ホルター心電図で確認しておくと事前にモニター装着すべきかどうかの参考になり、 リハビリ負荷によるリスクの目安にもなります。
また、投薬による心拍数減少の影響も考慮する必要があります。特に、尸プロッカーなどは心拍数を押さえます。今回の症例にあてはまるかどうかは不明ですが、心臓疾患を持っ患者さんを担当される場合は、「循環動態の変化の裏に投薬の影あり」を頭の片隅に置いておかれると急激な変化にも慌てる必要は少なくなると思います。