質問
以前、認知症で物盗られ妄想のある患者さんに、「あなたが財布を盗ったんでしょ!」と怒鳴られて落ち込んだことがあります。上手な対応をするにはどうすればよかったのでしょうか?
回答
回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣
物盗られ妄想は、「自分がなくした」と考えるよりも、「誰かに盗られた」と、他人に責任転嫁することで、自分の不安を消している防衛反応と考えられています。なので、怒鳴られても、自分が責められているというより、患者さんが不安を感じていると思って、落ち込まないようにしてください。
私の経験した物盗られ妄想の利用者さんの例をお伝えします。
その方の様子が落ち着いている時に話を聞いてみると、「お金がないと、デイサービスのみなさんに迷惑をかけてしまうから」と、語られていました。つまり、その方は楽しく通っているデイサービスのスタッフに迷惑をかけたくないという想い(心配)から、財布を盗られる不安があったと想像しました。
そこで、利用者さんと一緒に財布を見つけやすい場所を決め、どうしても見つからない場合は、「お金はご家族からいただいていますよ」と、声掛けをするようにすると、物盗られ妄想が落ち着いたことがあります。物盗られ妄想では、症状が落ち着いているときにその方のニーズを探り、先回りした対応をすることで上手く対応できることがあります。
参考にしてみてくださいね。
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