日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.229 【どう判断すればいいの?痰が中枢気道に移動しているかどうか】

質問

離床や徒手的呼吸介助手技などで、痰を中枢気道に移動しようと試みた際に、気管吸引できる位置まで痰が上がってきたと判断するには、どのようなアセスメントをすればよいのでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

痰の移動を正確にアセスメントして、確実に気管吸引で排痰できれば、患者さんの負担も最小限で済むのでメリットがありますよね。

お勧めのアセスメントは2つあります。

1つはラトリング位置の変化です。ラトリングは胸壁を触診した際に触れる振動で、最初末梢で触れたラトリングが、胸骨付近で触れるようになれば、中枢気道に移動し、気管吸引で痰が取れる可能性が高いと判断できます。

2つ目は聴診による判断です。必ず、離床や徒手的呼吸介助手技を行う前後に聴診を行うようにしましょう。例えば、離床前の聴診で、水泡音が吸気の終末に聴かれたとします。それが離床後に、水泡音が吸気の初期に聴こえるように変化したのであれば、痰が中枢気道に移動してきたと予測することができます。

上記のようなアセスメントをもとに、気管吸引で痰が除去できるかどうかを判断し、不要な気管吸引で患者さんに負担をかけないように意識してみてください。