日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.22 術前の介入について

質問

術前からの介入を当院でも検討していきたいと考え、今回の研修を受けました。患者さんに理解、納得していただき不安などを共有するには時間を要すると思いますがどれくらいの時間を目安に介入しているのか教えてください。また、各々の先生方で術前指導のポイントがあればお願いします。

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

術前からの介入、素晴らしい取り組みだと思います。
まず介入時期ですが、時期は各々の施設で変わってくると思います。外来で手術が決まった時からすぐに介入する施設もありますし、入院時より介入する施設もありす。一般的には、入院された当日、もしくは翌日から介入している施設が多いのではないでしようか。
外来から指導を開始する場合には、自宅で自主訓練できるようパンフレット等を作成し指導したあと、入院後再度介入するか、もしくは外来通院(週2 ~ 3回)して頂き、入院後再度介入するのもよいでしよう。入院してからの場合は、手術までの時間が限られているため、他の検査やインフォームのスケジュールを把握し、その合間を縫って指導をしなくてはなりません。
介入時間は指導できる回数によって変わってきますが、1回しか指導できないのであれば15 ~ 20分程度は欲しいところです。必要性を説明→術後の動き方の指導の流れだけでも、これくらいはかかってしまうと思います。もし外来や病棟の看護師さんで複数回指導できるチャンスがあれば、その都度、1つの項目を5分くらいで指導していくのもよいでしよう。不安の共有など精神的サポートも兼ねているのであれば、短時間で頻繁にアプローチを行うほうが現実的かもしれません。
術前指導のポイントはいかに術後、スムーズに目的が達成できるかを考えて行うことです。
限られた時間内に効率的に行うため私が指導のポイントとしていることは

1)術後における離床の必要性を理解して頂くこと
2)言葉だけの説明ではなく、視覚的(写真,絵・ビデオ等を用いる)具体的に行うこと
3)デモストレーションを行い繰り返し実施すること
4)関わるスタッフの情報の共有、指導の統一です。

最も重要なことは、1)の術後における離床の必要性を理解して頂くことです。どんなに時間がなくてもこれだけは理解していただき、時間の余裕に合わせて、2) ~ 3)を行ってみてください。
呼吸器合併症対策に有用なことを理解していただくだけでも離床のスピードは違ってくる可能性があります。具体的指導法は講座資料、完全マニュアルを参照していただき、疼痛を惹起させない起き上がり(完全マニュアルP180 )やACBT ( P168 )などを各施設で話し合い、組み合わせて指導してみてください。