日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.208 【CRPの反応が遅い?】炎症反応のデータに関するQ&A

質問

炎症時の血液データの反応とし、白血球数はすぐ上昇するのに対して、C反応性タンパク(CRP)上昇は反応が遅いとのことですが、その理由は何ですか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

簡単にいうと、白血球は全身に存在するから早く動けるのに対して、CPRは肝臓で待機しているので、反応が遅くなるためです。

肝臓からCRPが放出されるまでには、いくつか手続きがあります。

まず感染・外傷などをきっかけに、炎症部位のマクロファージはサイトカイン(IL-6)を放出します。

肝臓はサイトカインからのシグナルを受けてからCRPの産生を始めるため、実際に肝臓からCRPが放出され、血中CRP濃度が上昇するまでに、12時間ほどかかるといわれています。

それに対し、白血球は、マクロファージがサイトカイン(G-CSF)を放出すると、迅速に全身臓器から炎症部位に動員され、血中白血球濃度が上昇するまでの時間は、数時間といわれています。

この差が、CRPの上昇が遅れる理由です。

炎症データを見る場合には、反応時間の違いを意識してみてください。