日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.205 【トイレに行きたい!】脳卒中患者さんのゴール設定に関するQ&A

質問

70代男性。視床出血を発症後1ヶ月回復期病棟入院中。妻と二人暮らし。座位保持自立、移乗動作見守り、リハビリで歩行練習中も介助量は多い。本人の希望はトイレへ歩いていきたい。1か月後のゴール設定について、皆さんはどのように考えますか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

本人の希望通りトイレ歩行自立を目標としますでしょうか。

絶対とはいえませんが、現状の動作能力からすると難しそうです。

ではどのくらいの目標が現実的でしょうか?

ゴール設定を考える際に、NCPという考え方があります。

N=Needs(本人の希望)、C=Capacity(人的・環境的・経済的資源)、P=Policy(方針)のことで、この3つがそれぞれ実現可能な点が、達成可能なゴール設定になるという考え方です。

本症例の場合、Needsである歩いてトイレ動作自立は、1か月後としては少し高い目標かもしれません。

しかし、すぐに退院ではなく、回復期のスタッフ(Capacity)で、もう1ヶ月トイレ動作の練習を行い、車椅子でのトイレ動作自立を目指すということであれば、この目標は現実的となります。

その上でPolicy(方針)を決めて、トイレ動作だけでなく、家族の受け入れまでしっかり準備できれば、よりこの目標は現実的なものになるでしょう。

もちろん、上記はゴール設定の一例であり、症例の機能レベル、障害の程度、家族の状況により変わりますが、NPCを用いて、多方面からゴール設定を考える視点は重要と考えます。

是非、参考にしてみてください。