質問
呼吸性の代償反応に比べて、HCO3–による代謝性の代償反応はゆっくり起こるということですが、どのような理由なのでしょうか。
回答
回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣
HCO3–による代償反応は、ゆっくり起こるものだけではなく、早く反応しているものも実はあります。
HCO3–の増加による代償反応には、ヘモグロビンによる急性反応と、腎臓による慢性反応に分かれます。
急性反応とは、CO2を赤血球とヘモグロビンが緩衝して、HCO3–に変換した反応です。例えば人工呼吸器の分時換気量を減少させて、PaCO2が急激に上がると、すぐにHCO3-が増加する反応です(図中①)。
慢性反応とは、急性反応後にゆっくりとHCO3–が上昇することを指します(図中②)。慢性反応は、腎においてHCO3–の再吸収を促進している反応で、腎による代償には、数日かかります。
臨床では、時期により代償が働いている場所が違うことを意識しましょう。
引用文献 曷川 元,黒田 智也 編著:Q&Aとアウ値で学ぶ検査データが丸ごとわかる本.慧文社,2020.p124.
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