
質問
血液透析の患者さんは、薬の効能が下がると聞いたことがあるのですが、本当にそうなのでしょうか?
回答
回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣
結論からいうと、透析は薬の効果を下げます。その理由は、透析により薬の成分も除去されるためです。
しかし、全ての薬剤の効果が下がるわけではありません。薬が除去されるかは、色々な要因が影響しますが、「分子量」と「蛋白結合率」が代表的な要因です。一般的には分子量が500以上、蛋白結合率が高いと透析により除去されにくく、例えばバンコマイシン(グリコペプチド系抗生物質)は分子量1800であるため、蛋白結合率は低いもののほとんど除去されません。
また、プロプラノロール(アドレナリン作動性効果遮断薬)は分子量259ですが、蛋白結合率が90%以上と高いため透析により除去されにくいです。
このように、血液透析を行っている患者さんに対しては、分子量や蛋白結合率の影響を考慮して、薬剤の選択、投与量の調節が行われています。
しかし、透析患者さんを離床する際には、薬が効いているか、自らの視点でチェックすることが重要だと思います。
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