日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.191 【「ただの痛み止めという知識」で終わらない!】薬の種類から考える離床

質問

整形疾患患者さんでは、疼痛が問題で離床やADLが進まない方がいます。鎮痛薬の人によって処方される薬が違うことがありますが、何か考えられる理由はあるのでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

ひと言でいうと、鎮痛薬の種類の違いは、効いているポイントが違います。

腰痛を例に挙げると、第一選択薬としては、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)があります。

この薬が効く方は、急性腰痛で、腰に炎症があるということがわかります。炎症が強く、痛みがあるようであれば、無理な離床や活動は制限すべきで、痛みが治まるのを待つことが優先です。

第二選択薬としては、抗不安薬や抗うつ薬があります。

NSAIDsが効かず、抗不安薬や抗うつ薬が処方されている方がいた場合、慢性腰痛で痛みから精神機能にも影響が出ている可能性が考えられます。このときには、可能な範囲で離床や活動をすることがお勧めできます。活動を促すことで、血流が改善し、薬の効果を高められる可能性があることと、活動の中で、これからの経過や改善の可能性を具体的に示すことで、痛みに対する不安を軽減し、疼痛の改善につながる可能性があるのです。

薬の情報から、患者さんの状況や離床の内容を検討することは、とても重要なことです。

是非、臨床で注目してみてください。