質問
胸部レントゲンにおいて、気管はどのくらい偏位したものを異常と判断するのでしょうか?
回答
回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣
偏位についての異常という基準はありませんので、以前のX線画像と比較して判断することが重要です。
正常であれば気管はほぼ正中を走行します。気管の偏位には様々な原因がありますが、大別すると「何かに圧迫されているか」、「何かに引っ張られているか」のどちらかです。
2つの画像はどちらも気管が右に偏位していますが、その原因が異なります。
無気肺は肺の空気が抜けた状態となるため、気管は病変側に引っ張られます(画像a)。
胸水の場合は、胸腔に通常よりも過剰な水が溜まるため、気管は病変とは反対側に押されて偏位します(画像 b)
この原因によって、次にとるべき行動が異なります。たとえば、胸水による圧迫ならば、胸腔穿刺などが必要になり、無気肺ならば、適切に体位変換や離床を行う必要があるかもしれません。
このように、胸部レントゲンの異常を見るときには、気管偏位に注目し、原因を予測して離床やケアの方法を検討してみてください。
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