日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.187 【使い分け分かりますか?】線溶系データの臨床ポイント

質問

臨床ではDダイマーをよく見ますが、同じ線溶マーカーにFDPがあります。実際この2つはどのように使い分けたらよいでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

簡単にいうと、フィブリン分解産物(FDP)は重症度の判定、Dダイマーは診断目的に用いる指標という違いがあります。

詳しく解説していきます。

病態生理から考えると、Dダイマーは、安定化した血栓の分解の結果のみで生じる分解産物ですが、FDPは不安定なフィブリノーゲン分子または、安定化したフィブリン分子、どちらの分解産物も指すため、FDPは不安定か安定かの差を臨床では非常にとらえにくくなっています。

実際、1次線溶系なのか2次線溶系なのかは臨床ではあまり重要ではありません。

では、それぞれをどのように使用するかというと、FDPは凝固・線溶の重症度、DダイマーはDVTなどの診断目的と使い分けるとわかりやすいと思います。

FDPは、主に線溶と対応する凝固系の亢進程度を表すため、DICの診断基準で推奨されている急性期DICスコアでは、FDPの値がひとつの項目として取り上げられています。