質問
被殻出血により注意障害が強く出現している患者さんを担当しています。その患者さんが食事中、気が散ってなかなか食事が進みません。何か工夫はありますか?
回答
回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣
基本的な対応として、注意障害により気が散っている場合は、大部屋の場合であればカーテンで仕切るなどして、食事以外の刺激が入らないようにしましょう。食事に注意が向かずに、介助などで本人の意図しないタイミングで食事が口腔に入ると、誤嚥するリスクも高くなります。
ここまでは教科書通りの答えなのですが、上記の対応の「デメリット」はなんでしょうか?
それはズバリ、カーテンによって仕切られた「環境」です。
狭い空間に食事だけがテーブルに置かれて、必要なエネルギーを摂ることだけが食事でしょうか。今は感染対策で難しいですが、誰かと話をしながら食べることや、回りの景色や音を感じながら食事を楽しむ方もいると思います。カーテンで仕切って刺激を最小限にするということは、そのような楽しみを奪う行為でもあるのです。患者さんによっては、食事が楽しくなくなり、食事摂取が減るかもしれません。
高次脳機能障害のある方への対応は、絶対これが正解!という一つだけの答えがあることは少ないです。
介入のメリット・デメリット両面を考え、その方に合った方法を選択できると良いのではないでしょうか。
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