日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.174 【注意すべきは25%】拡張期血圧から考える離床のリスク

質問

ある患者さんの血圧が、120/100 mmHg と拡張期血圧は高血圧ですが、収縮期は正常、という場合、離床は進めてもよいでしょうか。

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

一般的に拡張期血圧が高い場合は、循環血液量が多い、動脈硬化、といった要因が考えられます。ただ、拡張期血圧が高いだけで離床のリスクをあれこれ想定するのは難しいかと思います。むしろこの患者さんで気になるのは、収縮期と拡張期の差(脈圧比)が小さいことです。

脈圧比(収縮期血圧-拡張期血圧/収縮期血圧)×100(%)の値が、25%未満は心係数(CI)2.2以下を示唆する1)とされており、この患者さんの脈圧比を計算すると、約16.7%と非常に低い数値となっています。

離床のリスク管理としては、心拍出量の低下、臓器低灌流の可能性があることを念頭に、末梢冷感や息切れといったアセスメントと合わせて、慎重に運動負荷を調整することをお勧めします。

1)Stevenson LW,et al:JAMA,261(6):884-888,1989
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2913385/