日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.17 くも膜下出血スパズム(脳血管攣縮)期における離床の留意点

質問

くも膜下出血後に起こるスパズム(脳血管攣縮)期に離床する場合、どのようなことを注意したらよいですか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

くも膜下出血後の スパズム(脳血管攣縮)期の離床は、出血源である動脈瘤に対して止血処置(血管内治療、開頭クリッピング術、ラッピング術)が行われていることを確認し、術後翌日よりすすめるのが基本となります。もちろん個々の症例に合わせて評価を進め、全身状態が安定しているのが前提であることは、他の疾患の離床と同様です。
ただし、スパズム期(発症後3日~14日)に投与されるくも膜下出血治療薬(エリルR注)の副作用として低血圧を示す特性があります。このエリルR注の副作用に加え、臥床により起立耐性が低下すると、眩暈・失神により離床が阻害されます。このような事態を避けるためスパズム期であっても離床を進めることが大切です。
加えてスパズム期は特に強い頭痛を示すことが多く、臥床傾向となるため、臥床による廃用症候群を予防し、早期社会復帰を目指し積極的に離床し全身のコンディショニングを図ることが重要です。