日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.161 【体位を変えたら逆に悪化!?】体位変換に関するQ&A

質問

脳卒中後遺症でADL全介助の患者さんがおり、誤嚥性肺炎を繰り返していました。予防のために前傾側臥位にしたところ、背臥位のときよりSpO2が下がってしまいました。前傾側臥位は負荷が強すぎるのでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

恐らく前傾側臥位を行うことは悪くありませんが、実施後の対応に問題がありそうです。
その理由を解説します。
まず最も多いパターンとして、左右の肺でみたときに、悪い方の肺を下にして側臥位にしてる場合です。側臥位で下側になった肺は、横隔膜が腹部臓器に圧迫を受けることや、自重で胸郭が広がりにくいため換気に不利となり、SpO2が低下しやすくなります。
原則として悪い肺を上にして前傾側臥位にすると覚えておきましょう。その上で基本的な対処として、まずはしっかり気管吸引をしましょう。
ただ吸引をしても安心しないよう注意が必要です。
粘性の痰では、吸引カテーテルが届かない中枢気道で閉塞していることもあり、吸引後に呼吸数やSpO2が改善しない場合は、体位を戻して再度吸引の実施や、
速やかに気管支鏡の使用が必要となることがあります。
体位変換に限らず、縦に起こす離床も含め、身体を動かすことは良いことですが、悪い変化を起こす可能性もあるため、必ず両面を予測してアセスメントをしながらすすめましょう。