日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.15 心疾患の患者さんに対しての運動負荷量設定方法

質問

当院では、心疾患の患者さんに対してCPXより出たMETsを参考にADL指導を行っていますが、他に何か参考にする指標はありますか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

心疾患を有している患者さんに対して、適切な運動負荷量を設定し指導することは、退院後の生活を安全に過ごしていただくために、大変重要な事項です。
CPXは心肺機能運動負荷試験といい、心疾患の患者さんに対し、安全な運動負荷量を決定するのに役立ちます。特に慢性心不全の患者さんに対し、心不全を増悪させず、心肺機能を高める運動負荷の決定に有用です。ただし、このCPXは特殊な検査機器の為、全国的にも普及率は決して高いとはいえず、限られた施設でしか行われていないのが現状です。
実際、在宅や老人保健施設などの現場でも、心疾患を合併している利用者さんも数多くいらっしゃいます。
よってCPXを用いずに運動負荷量を調節するには、患者さんの自覚症状(息切れ・呼吸困難感・倦怠感・疲労感など)、心拍数、血圧などのチェック項目を、運動前、運動後の反応として、細かく観察していく必要があります。
目安としては呼吸困難感や疲労感を感じない低負荷の強度、心拍数や血圧の著しい変動を起こさない強度となります。
また、検脈にて不整脈の有無を確認する、運動後の息切れ、疲労、むくみなどの自覚症状出現に注意するなどがあげられます。もしも1つでも該当する項目があれば、運動負荷を下げ、心配な場合は医療機関に相談するなどの指導も必要です。安全な退院後の生活や、在宅や施設での療養生活を援助できるような指導が行えると良いでしょう。