日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.149 【血液ガスデータQ&A 静脈血の検査の意義とは】

質問

血液ガスデータQ&A 静脈血の検査の意義とは

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

患者さんの全身状態を把握して、

離床できる状況かを判断するために、

血液ガスデータのチェックは大切ですよね。

通常、血液ガスデータは動脈血を検査しますが、

時々、静脈血を採ることがあり、

「間違い?」と疑問に思ったことはないでしょうか。

実は、臨床では静脈血を狙って検査することがあるのです。

静脈血ガスと動脈血ガスのデータの違いは、

PaO2やPaCO2の値は異なりますが、

pHやHCO3-は値が大きく変わらないという特徴があります1)

これらの特徴から、酸塩基平衡の評価は

静脈血ガスでできるということが分かるので、

「アシドーシスやアルカローシスがあるか」

「腎不全でHCO3-が知りたい」などのときに使えるのです。

当然ながら、動脈に比べて静脈血の採血のほうが、

止血時間が短く、手技も用意であるため、

救急対応が必要な場合や、安静を保てない小児などでは有用なのです。

静脈血ガスが採られていたら、

数値の特徴を把握して酸塩基平衡の把握に活用してみてください!

文献
1) Benjamin M Bloom et al. The role of venous blood gas in the emergency department: a systematic review and meta-analysis. Eur J Emerg Med. 2014 Apr;21(2):81-8.