日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.130 乳酸値からみる離床のリスク管理

質問

血清乳酸値は、離床のリスク指標としても活用できるのでしょうか。

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

乳酸の値は近年注目されている指標の一つです。もちろん離床のリスク指標として活用できます。
酸素が細胞(ミトコンドリア)に届かない場合、嫌気性代謝によって、ブドウ糖からATPと乳酸が産生されます。血清乳酸値が上昇しているということは、呼吸や循環等の障害が生じ、酸素が細胞に届いていない危険な状態にある可能性が示唆されるため、負荷の強い積極的な離床は控える必要があります。

乳酸値を測定している場合は、離床前に、基準値(3~15mg/dL程度※)の範囲にあることを必ず確認することが重要です。
※測定機器によってはmmol/Lで表示されます。1mmol/L=9mg/dLで変換してください。
mmolで表示されている場合、乳酸値は2mmol/L以内が目安です。

そして4mmol/Lを超えると死亡率が上昇するので、重症であると認識することが必要です。そのため乳酸値の単位の確認も大切です。検査の結果を見て乳酸値の単位がmmol/Lか、mg/dLかを確認してください。