日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.13 体位変換は15分で効果的か?

質問

実技で学んだ聴診・触診のアセスメントを参考に、呼吸の改善のために体位変換を選択するということはよく理解できたのですが、実際に体位変換後はどのくらいの時間やれば効果があるのですか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

アセスメントに基づいたケア・介入を行うことはもちろん大切ですが、その効果判定をすることは意外と抜けてしまいがちなので、重要な視点だと思います。
結論から申し上げますと、呼吸状態の改善を目的とした体位変換を行う場合、実施を時間で区切ることはあまり有効ではないと考えます。
理由は、たとえば15分前傾側臥位を実施すれば、必ず肺合併症が改善する!ということはないからです。
では何を基準に体位変換の時間を考えれば良いのでしょうか?それは「体位変換をする目的と目標」を明確にすることで、答えが見えてきます。
例えば「呼吸を改善したい!」という目的で体位変換をするのであれば、目標とするアウトカムも明確に設定します。

つまり、「背側の換気が聴診上増加した」、「SpO2の改善が得られたなど」です。
これら目標とするアウトカムが達成されれば、その時点で終了とします。(もちろん終了後、必ず背臥位に戻す必要はありません)
長期的なアウトカムであればレントゲン画像の透過性や、血液ガス・生化学データの変化も重要な指標となります。
反対に目的が達成されなければ、1時間でも2時間でも体位変換を継続するということは薦められません。当然長時間同一姿勢をとれば、褥瘡のリスクが高くなります。
そのような場合には問題に対する介入として、体位変換の方法(側臥位の角度・向き・安楽の度合い・除圧の方法なども含む)が適切でない、又は体位変換自体が有効ではないと考えられますので、もう一度、原因検索(アセスメント・情報収集)から見直す必要があります。
体位変換に限らずどのような介入でも同様ですが、時間や回数で効果が保障されているものは少なく、多くの場合は再度アセスメントすることによって効果判定をすることになります。

焦らずに真摯に介入の結果と向きあい、より良い方法を常に考えてみてください。