質問
体水分 IN-OUTバランスに関して、「尿量0.5ml/kg/h」を目安にする根拠を教えてください。
回答
回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣
術後の離床に関する目安としてご紹介した基準の一つになります。
まず、術後にチェックする生体反応として、筆者は尿量・不感蒸泄・平均血圧を挙げています。
術後の尿量を確認することは、循環血液量や利尿期を把握する上で大変重要な指標になります。 「ml/kg/h」は「プロキロ」と呼ばれています。
計算の仕方は講座でお話しているので割愛いたしますが、カルテ記載でよく見かけるのは「尿量600ml/4h(4時間で600ml)」というような記載です。 しかしこれには大きな欠点があります。
それは患者さんの体格を反映していないことです。 同じ600ml/4hでも体重45kgの人と80kgの人では体にかかる負担が違います。そのため、体格(体重)で除すことにより、その人体重1kgあたりのどの程度尿量が出ているか把握できます。
「0.5ml/kg/h」というのは、AKI(急性腎障害)の診断基準の一つとされています。
AKIの診断基準としては
①48時間以内に血清クレアチニン値が0.3mg/dL以上上昇した場合
②血清クレアチニン値がそれ以前7日以内に判っていたか予想される基礎値より1.5倍以上の増加があった場合
③尿量が6時間にわたって0.5ml/kg/hに減少した場合
とあります。
実際、0.5ml/kg/h以下で離床を進めるとかなりの確率で、起立性低血圧や気分不良を認めます。 そこで筆者の施設ではよくても端座位までに止めています。
皆さんも離床の際の1つの目安として、尿量をこれまで以上にチェックしてみてはいかがでしょうか?