質問
致死的不整脈の発生を予測することは可能でしょうか?
回答
回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣
多くの致死的不整脈には前兆があります。
Lown分類による心室性期外収縮(PVC)の重症化はもちろんですが、心電図だけではなく、呼吸数や心拍数の増加にも注意が必要です。
急変(致死的不整脈発生を含む)患者の80%以上が、急変の8時間前から何らかの急変の前兆を認めていたと報告されています1)
経時的な心電図の観察で、PVCが「増えた」「連発した」「変形した」「T波に乗り上げた」場合には、積極的な離床を控えることを考慮します。
また、感染等による重症化進行の過程では、様々な症状がドミノ倒しのように順々に生じます。
致死的不整脈は最下流のドミノであり、ここで対応するようでは手遅れの場合が多いです。
重症化進行ドミノの上流には、呼吸数や心拍数の増加があります。
呼吸数や心拍数が経時的に増加したり、呼吸数25回/分以上や心拍数120-130回/分以上の場合には積極的な離床を控え、ドミノ倒しを止めることが重要です。
1)Schein RM et al. Clinical antecedents to in-hospital cardiopulmonary arrest. Chest. 1990 Dec;98(6):1388-92.