日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.119 発熱4日のルールとは

質問

発熱が4日以上続いた場合は、通常の風邪ではなく別の疾患の存在を考える必要があるとのことですが、発熱が4日以内に治る根拠を教えてください。

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

発熱とは一般的に体温が37.5度以上の状態を指します。※体温には個人差がありますので例外もあります。発熱の代表的な例は免疫機能によるものです。体内にウイルスや細菌が入ると、異物を排除しようと免疫細胞が活性化します。その免疫細胞の活性化に必要なことは、熱を産生させ、体温を上げることになります。しかし、体温が上昇を続けている間は、温度を上げることに体の機能が集中するため、身体機能は20%低下するといわれています。そのため、病原体が排除されると、体はすみやかに発汗などを通じて体温を下げ始めます。免疫の流れは、まず炎症初期0日~2日ぐらいは病原菌が体内に入り、体内でウイルスが増殖します。(無作為に攻撃:自然免疫)抗体が作られる前にまずは、自然免疫で体内のウイルスの増殖を少しでも抑えていると考えられます。炎症~寛解3-14日ぐらいではウイルスを見極め、効率的に攻撃する(獲得免疫)とされていて、獲得免疫に入る3日頃に、ウイルスの種類を体の中で見極めて、抗体が作られ対応していく流れになります。つまり4日以上継続する発熱は、ウイルスを見極めるのに時間を要すか、自己免疫疾患の可能性が考えられますので、通常の風邪による感冒症状とは異なる危険性を示唆しています。よって、速やかに医療機関を受診することをお勧めします。また、38度、38.5度と高熱の場合には、熱消費カロリーが、通常の代謝カロリーを超えてしまうので、無理な運動は控える必要があります。患者さんの現状が解熱傾向であるのか、発熱傾向にあるのかを見極めながら、最低限の離床と運動負荷を考えケア・リハビリを介入してください。

参考文献
1)大友 康裕 編 救急患者のフィジカルアセスメント.メディカ出版:2011.180-189
2)佐地 勉 ”発熱”.杉本 恒明 編 内科学.第9版 東京 朝倉書店 2007.64-5.
3)安部 良.病気にならないための体をまもるしくみ事典.成美堂出版:2007.78-81.