日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.11 座位から立位へのスムーズな移行の仕方

質問

高齢者が多く、Head up・端座位での足踏み・足上げが大丈夫でも、立位保持では足踏みが困難になってしまう患者さんが多いのが実情です。スムーズに立位足踏みに移行できるベッド上での運動はありますか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

このような症例に筆者もよく当たります。座位で足踏みが可能であるのに、立位で足踏みができないという症状から、中枢側の筋肉(大殿筋や中殿筋など)が十分筋力を発揮できていないことが考えられます。また単一の筋の問題だけではなく、術後侵襲によるタンパク異化作用の亢進(テキストP53)や、長期臥床による神経・筋協調性の低下なども考慮しなければなりません。症例によりますが、一般の病棟で施行可能で、かつ患者さん自ら行うことができる、 床上での殿部挙上(ヒップアップ)エクササイズ(テキストP206)が最も有用と考えます。指導上の工夫では、患者さんに「1時間に10回だけでいいから行ってください」と言い、切りの良い9時・10時・11時になったら10回行うように指導しています。但し、長時間かかって筋力低下が進んだ患者さんでは、負荷量として不十分なため、立ちしゃがみ運動(P209)を介助で行うことをお勧めします。