日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Vol.1 「E-MATは必要か?E-MATをプロコンで考える」

今月から、離床推進ファシリテーターの活動を皆さんに報告していきます。

 「皆さんの施設には、E-MATがありますか?」E-MATとは、各施設で行う”離床チーム”のことです。多職種で構成された隊員が、病棟・部署単位で存在し、離床を推進する原動力として活躍します!

 毎月チーム連携やE―MATに関連した内容を掲載していきます。皆さんの施設での離床やチーム連携の手助けになるよう提供していきたいと考えておりますので、一緒にE-MATを盛り上げていきましょう♪
 さて、第1回目は少々過激ですが、「E-MATは必要か!?」というテーマに対して、ファシリテーター同士の意見交換を行いましたので報告します。

その前に…
Pros/Consという言葉はご存知ですか? Pros/Consとは・・・
Pros=肯定 Cons=否定 という意味で、合わせてプロコンと呼びます。
肯定意見と、否定意見をぶつけて、そのものの存在価値を熟考するのが目的です。

まとめ

 Pros側の意見としては、スタッフの育成や患者・家族への提言・指導が行いやすくなる。チームによる離床の促進・方向性について意見を収束させやすいことなどがあげられています。

 Cons側の意見としては、既存のシステムで十分に離床ができているから、新たにチームを作る必要がない。仕事の負担が増える。加算が取れない。RSTなどがシステマチックに連動し、患者さんの離床が進めばE-MATは必要ない。病棟によって離床に対するリスクが異なるため、ルーティンを構成するのは危険などがあげられました。

 チーム医療を実践していく中で、現場の看護師が多職種との連携に困難と感じている内容をまとめた文献がありました。①職種を越えて連携・協働する②組織からの支援を得る③チーム内で自分の能力を発揮する④医師と連携・協働する⑤チームのモチベーションを高める⑥適切な役割り分担を行う⑦チームで情報を共有するなどの7カテゴリーが抽出されたとあります。1)

 私がチーム連携に対して思うところは、多々ありますが、コミュニケーションはとても重要な因子だと感じています。RSTなど専門的なチームがありますが、共通したゴールは離床というキーワードです。離床を目的としたチームが介入することでNSTやRST、褥瘡対策チームなどとも連携が円滑にいきやすくなると思います。チーム連携に対して困難と感じることも、離床を促進するチームがいることで現場が変わっていくはずです。E-MATの歴史は始まったばかりですが、これから参加する施設が増えることにより、日本・世界での離床が変わっていくと思います。ぜひ、みなさんで一緒にE-MATを盛り上げていきましょう!!

次回から、離床推進ファシリテーターが所属する施設でのチーム連携の”コツ”について掲載していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

離床推進ファシリテーター副班長
守谷慶友病院
離床インストラクター 中村 昌孝

1)吾妻知美 神谷美紀子 岡崎美晴 遠藤圭子 チーム医療を実践している看護師が感じる連携・協働の困難 甲南女子大学研究紀要第7号 看護学・リハビリテーション学編(2013年3月)