日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【ウィーンの治安と抜管に関係あり!?】Dr中西の離床面白エビデンス

人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。

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みなさんこんにちは。筋萎縮ゼロプロジェクトの中西です。オーストリアの首都であるウィーンから最新のエビデンスをお届けします。

皆さんはWean Safe Studyをご存じでしょうか。オーストリアのウィーンの治安は全然関係ないですよ。という寒い冗談はおいておきましょうか。Weanというのは日本語で抜管に向かう過程をいいます。日本でもウィーニングしようといいますね。実際に人工呼吸器離脱に向けた疫学の世界的な調査です。日本からも多くの施設が参加しています。

さて人工呼吸器離脱の実態はどのような結果であったでしょうか。2日以上人工呼吸管理が必要な患者さんが対象となりました。世界50カ国、481のICU、5869人を対象として観察研究です。挿管された患者さんのうち28%は抜管されずに死亡しており、65%の患者さんのみが90日目に抜管できていたようです。22%の患者さんが抜管基準を満たしてから実際に抜管されるまで5日以上かかっていたようです。また抜管を試みた患者のうち、9.6%が7日以上の人工呼吸管理を要し、15.6%が抜管できず、抜管できない原因としては過鎮静、ウィーニング開始遅延のようです。

これらのデータをみると、抜管がいかに簡単でないかよくわかります。今回の報告でもあるように、鎮静を深くして寝たきりにさせず、離床などの活動を頑張ることが抜管につながるように感じました。浅鎮静、離床などを通じて、一人でも多くの患者さんの抜管を目指していきましょう。きっと明日の医療はもっとよくなるはずです。

Weaning from mechanical ventilation in intensive care units across 50 countries (WEAN SAFE): a multicentre, prospective, observational cohort study
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S2213260022004490